民法総則 第6回 法律行為① 〜総則〜

民法総則第6回「法律行為」 民法
民法総則第6回「法律行為」

法律行為について

法律行為とは、法律効果を発生させる行為のことです。

法律効果とは、法律上の要件を満たすことで、権利・義務が発生、変更、消滅する効果のことです。

法律行為の具体例として、売買・賃貸借などの契約、遺言、会社設立などがあります。

民法第5章「法律行為」は全5節、①総則、②意思表示、③代理、④無効及び取消し、⑤条件及び期限で構成されています。

今回は「法律行為とは何か?」と「①総則の条文」を解説します!

※この記事は、2020年4月改正後の民法に対応しています。

法律行為とは何か?

法律行為とは、要件を満たせば権利・義務の変動がある行為でしたね。

さらに法律行為は①契約、②単独行為、③合同行為に分類することができます。

法律行為
分類概要具体例
契約申込みと承諾の意思表示によって成立売買、賃貸借など
単独行為一方的な意思表示で成立遺言、取消しなど
合同行為複数人の同一の意思表示で成立会社設立など

つまり、法律行為とは契約・単独行為・合同行為であり、「法律行為=売買」・「法律行為=遺言」・「法律行為=会社設立」などであるということです。

法律行為 〜総則〜

民法第90条「公序良俗」

民法第90条では、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。」と規定されています。

民法90条は強行規定(当事者の意思で変更することができない規定)であり、当事者間で合意があっても公序良俗に反する法律行為は無効となります。

公序良俗に反する法律行為として、ネズミ講の入会契約、賭博、暴利行為、愛人契約などがあります。

「公序良俗違反」に関する判例

「公序良俗違反」に関する判例として、下記の2つをご紹介します。

①別居中の妻子がいる男性が、他の不倫関係にある女性に遺産の3分の1を包括遺贈する法律行為は無効ではないとしたもの。

②会社の就業規則で、定年年齢を男性60歳、女性55歳とした部分において、その理由が性別のみによる不合理な差別である場合は無効としたもの。

民法第91条「任意規定と異なる意思表示」、民法第92条「任意規定と異なる慣習」

民法第91条では、「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。」と規定されています。

民法第92条では、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」と規定されています。

つまり91条と92条は、法令の規定が、①任意規定(当事者の意思で変更することができる規定)る場合は当事者の意思に従い、②強行規定(当事者の意思で変更することができない規定)ある場合は規定された内容に従うということです。

まとめ

法律行為とは、法律上の要件を満たすことで、権利・義務が発生、変更、消滅する効果のことであり、種類は①契約、②単独行為、③合同行為の3つです

公序良俗に反する法律行為は無効となります。

任意規定では、当事者の意思に従った法律行為をすることができ、強行規定では規定された内容に従う必要があります。

第6回、民法総則「法律行為①」〜総則〜については以上となります。

第7回では、民法総則「法律行為②」〜意思表示〜について解説します。

 

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