民法 初学者の方へ 〜民法の構成・条文の全体像〜

民法 初学者の方へ 民法

民法とは

民法とは、「個人間の取引」、「個人の権利・義務」、「人の身分」に関する規定を定めた法律のことです。

民法は私法の一般法であるため、すべての私法の基礎とも言えます。
つまりこれから法律を学んでいく方にとって民法はとても重要な科目ということです。

民法の条文は全1,050条とかなりのボリュームがあります。
初学者の方には、まずざっくりと全体像を把握し、その後に個別の条文や判例、学説等を学習することをオススメします。

※この記事は、2020年4月改正後の民法に対応しています。

 民法の構成

民法は第1編「総則」、第2編「物権」、第3編「債権」、第4編「親族」、第5編「相続」の全5編で構成されています。

各編、各章の冒頭には「総則」が置かれており、このような方式を「パンデクテン方式」と呼びます。
「パンデクテン方式」とは、個別の規定に対し、共通する規定があれば冒頭に置いておく方式のことです。
つまり、共通の規定=「総則」ということです。

例えば、「民法総則」は民法典全体に共通する規定であり、「物権総則」は物権編全体に共通する規定であるということです。

民法全体の構成は下記の図の通りです。

民法 全体図

民法 全体図

民法 総則概要

民法「総則」は民法典全体に共通する規定を定めています。

また、民法が私法の一般法であるということから、民法総則は各種特別法に共通して適用される規定でもあります。

それでは、民法総則の概要について見ていきましょう。
※より詳しい解説が知りたい方は、下記表内の第〇章下のリンクから詳細を解説したページへ行けます。

民法 第1編 総則
解説
第1章 通則
通則総則
第2章 人

第1節

権利能力

権利能力権利を得たり、義務を負ったりすることのできる資格。
すべての人や法人には権利能力があるとされる。

第2節

意思能力

意思能力自分の行為の結果を予測・判断できる能力。
幼児や泥酔者は意思能力がないとされる。

第3節

行為能力

行為能力契約などの法律行為を単独で行うことができる能力。
未成年者や成年被後見人などは行為能力がないとされる。

第4節

住所

住所生活の本拠。

第5節

不在者の財産の管理及び失踪の宣告

不在者住所・居所を去ったもので、いつ帰ってくるかわからない者。

失踪宣告裁判所が失踪者を法律上死亡したものとみなす宣告を行うこと。

第6節

同時死亡の推定

同じ事故で数人が死亡した場合などにおいて、死亡した順番がわからない場合、同時に死亡したと推定する。
第3章 法人
法人の設立等、法人の能力、外国法人、登記、外国法人の登記に関する規定。
第4章 物

有体物(固体・液体・気体)

不動産土地及びその定着物
動産不動産以外の物

主物従物が附属されている物
従物主物に附属させられている物
具体例としては、①刀(主物)と鞘(従物)や、②家(主物)と畳(従物)などがある。

天然果実樹木から採れる果物や牛から採れるミルク、鉱山から採れる鉱石など。
法定果実家賃や利息など。

第5章 法律行為

第1節

総則

公序良俗、任意規定と異なる意思表示・慣習について。

第2節

意思表示

意思表示法律効果の発生を欲する意思を外部に表示すること。

法律効果法律上の要件を満たすことで権利義務が発生・変更・消滅する効果。
売買契約、贈与契約の成立など

第3節

代理

代理他人(代理人)が本人に代わって意思表示を行い、その法律効果を本人に帰属させる制度。

第4節

無効及び取消し

無効法律行為の効果が初めから生じない。

取消し取り消した場合に法律行為の効果が遡及的(さかのぼって)に無効になる。
取り消すまでは有効という点で無効と異なる。

第5節

条件及び期限

条件法律行為の効力の発生・消滅を、将来発生するかわからない事実の成否にかからしめること。

期限法律行為の効力の発生・消滅を、将来発生確実な事実にかからしめること。

第6章 期間の計算

原則=初日不算入。

例外=午前0時ちょうどから起算する場合、その日が初日となる。

第7章 時効

第1節

総則

時効の効力、援用、放棄、完成猶予、更新等

第2節

取得時効

取得時効ある事実状態が一定期間継続することにより、権利を取得すること。

第3節

消滅時効

消滅時効ある事実状態が一定期間継続することにより、権利が消滅すること。

民法 物権概要

民法「物権」は「人と物との関係」についての規定を定めています。

物権の種類として、「占有権」、「所有権」、「用益物権」、「担保物権」があります。

それでは、物権の概要について見ていきましょう。

民法 第2編 物権
解説
第1章 総則
物権法定主義、物権の設定、移転、不動産に関する物権の変動の対抗要件、動産に関する物権の譲渡の対抗要件、混同、に関する規定。
第2章 占有権

第1節

占有権の取得

占有権「自己のためにする意思」をもって物を「所持」することで得られる権利。
例えば、人の物を盗んだ者であっても占有権を有する。

第2節

占有権の効力

占有物から生じた果実の扱いや、損害賠償、即時取得、盗品・遺失物の回復、占有訴権などに関する規定。

第3節

占有権の消滅

占有権、代理占有の消滅事由。

代理占有他人を通して物を支配・管理すること。
代理占有の具体例としては、アパートの賃貸人と賃借人との関係などがある。

第4節

準占有

準占有物以外の財産権を自己のためにする意思をもって現実に支配すること。

物以外の財産権として、債権や著作権などがある。
第3章 所有権

第1節

所有権の限界

所有権法令の制限内において自由にその物の使用、収益、処分をする権利

所有権の内容及び範囲、相隣関係(隣接する不動産の所有者間の隣地の通行、排水、境界などについて調整し合う関係)に関する規定。

第2節

所有権の取得

遺失物の拾得

付合所有者の異なる複数の物がくっついて1つになること。

混和所有者の異なる複数の物がくっついて誰の物かわからなくなること。

加工他人の物に手を加えて別の物を作り出すこと。

第3節

共有

共有複数人で1つの物を共同で所持すること。
第4章 地上権
地上権建物を建てたり、樹木を植えたりするために他人の土地を使用する権利。

賃借権との主な違いは、土地所有者の許可がなくても自由に貸したり、譲渡したりできるということ。
第5章 永小作権

永小作権使用料を支払って、他人の土地で耕作や牧畜をする権利。
第6章 地役権

地役権契約で定めた目的にしたがって、自分の土地の便益のために、他人の土地を利用することができる権利。
具体例として、通行するために他人の土地を使用する、通行地役権がある。

第7章 留置権

留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を手元に置いておくことができる権利。
具体例として、パソコンの修理を依頼された者が修理を終えたが、その修理代金の支払を受けるまで、パソコンを依頼主に引き渡さず手元に置いておくこと、がある。

第8章 先取特権

第1節

総則

先取特権法律が定める一定の債権を有する者は、債務者の財産から優先的に弁済を受けることができるという権利。
具体例として、従業員の給料や葬式の費用などがある。

第2節

先取特権の種類

一般の先取特権、動産の先取特権、不動産の先取特権に関する規定。

第3節

先取特権の順位

共益費用>特別の先取特権>一般の先取特権

第4節

先取特権の効力

第3取得者や動産質権との競合、先取特権の登記などに関する規定。
第9章 質権

第1節

総則

質権債権の担保として債務者や第3者から受け取った物を占有し、返済がない場合に売却するなどして、優先的に弁済を受けることのできる権利。

第2節

動産質

動産質動産を担保にした質権。

第3節

不動産質

不動産質不動産を担保にした質権。

第4節

権利質

権利質財産権を担保にした質権。
具体例として、定期預金や株式などがある。
第10章 抵当権

第1節

総則

抵当権お金の貸し借りにあたって、債務者が返済できなくなった場合に、債権者は、債務者や第3者が担保に入れた不動産から優先的に弁済を受けることができる権利。
抵当権を設定した不動産は、債務者や第3者が占有したまま使用収益をすることができる。

第2節

抵当権の効力

抵当権の順位、被担保債権の範囲、処分、代価弁済、抵当権消滅請求、法定地上権、等に関する規定。

第3節

抵当権の消滅

抵当権の消滅時効、抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅、抵当権の目的である地上権等の放棄、に関する規定。

第4節

根抵当

根抵当債権(の種類や金額)を特定せず限度額を決め、限度額の範囲内であれば何度でも貸し借りや返済ができるという制度。
限度額の範囲内で債権者は優先弁済を受けることができる抵当権の一種。
具体例として、会社が事業を行うにあたって資金調達のため、銀行から何度もお金を借りたり返済したりを繰り返す場合に根抵当権を設定することがあります。

民法 債権概要

民法「債権」は「相手に何らかの行為をするよう請求できる権利」についての規定を定めています。

債権の発生原因として、「契約」、「事務管理」、「不当利得」、「不法行為」があります。

それでは、債権の概要について見ていきましょう。

民法 第3編 債権
解説
第1章 総則

第1節

債権の目的

債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。

第2節

債権の効力

債務不履行債務者が債務の趣旨に沿った義務を実行しないこと。

債権者代位権債権者が自己の債権を保全するために必要があるときに、債務者の財産権を代わりに行使することができる制度。

詐害行為取消権債権者は、債務者が債権者を害すること(債務の履行ができなくなること)を知りながらした行為の取消しを裁判所に請求することができるという制度。

第3節

多数当事者の債権及び債務

分割債権・債務分割することが可能な債権や債務について、複数の人間が関わっていること。

不可分債権・債務1個の分割することのできない債権や債務について、複数の人間が関わっていること。

連帯債権複数の債権者がそれぞれに債務者に対し債務の履行を請求することができる債権。

連帯債務複数の債務者がそれぞれに債務の全部(お金であれば全額)を給付する義務を負う債務。
債務者の一人に対して契約の無効や取消しなどがあっても、他の債務者の債務は消滅しない。

保証債務債務者が債務の履行をできない場合に、保証人が代わりに履行する義務を負う債務。

連帯保証保証債務の一種で、保証人は債務者と同一の義務を負うという点で通常の保証債務より責任が重い。
ただし、主債務が消滅すれば保証債務も消滅する。

第4節

債権の譲渡

原則として、債権の譲渡は自由にすることができる。
例外として、債権の性質上制限がある場合は譲渡をすることができない。

第5節

債務の引受

併存的債務引受債務を引き受けた新しい債務者と元の債務者とが一緒に債務の履行義務を負う。(実質、連帯債務と同様)

免責的債務引受債務を引き受けた新しい債務者のみが債務の履行義務を負い、元の債務者は債務の履行義務を負わない。

第6節

債権の消滅

債権の消滅には、
①弁済
②代物弁済
③供託
④相殺
⑤更改
⑥免除
⑦混同
⑧時効
の8種類がある。

第7節

有価証券

有価証券株式、債権、小切手、手形などの財産的な価値を記載した紙片。
第2章 契約

第1節

総則

契約の成立、効力、地位の移転、解除、定型約款(ある特定の者が不特定多数の物を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的で有ることがその双方にとって合理的なもの)に関する規定。

第2節

贈与

贈与当事者の一方がある財産をタダで相手方に与える意思を表示し、相手方が承諾することで成立する契約。

第3節

売買

売買当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約束し、その相手方が代金を支払う約束をすることで成立する契約。

第4節

交換

交換当事者がお互いにお金以外の財産権を移転する約束をすることで成立する契約。

第5節

消費貸借

消費貸借当事者の一方が種類、品質、数量の同じ物を返す約束をし、相手方からお金や物を受け取ることで成立する契約。

第6節

使用貸借

使用貸借当事者の一方がある物を引き渡すことを約束し、相手方は受け取ったものをタダで使用して契約終了時に返却する約束をすることで成立する契約。

第7節

賃貸借

賃貸借当事者の一方がある物を相手方に使用させることを約束し、相手方が賃料を支払い、引き渡しを受けた物を契約終了時に返却する約束をすることで成立する契約。

第8節

雇用

雇用当事者の一方が相手方に対して労働に従事する約束をして、相手方が報酬を支払う約束をすることで成立する契約。

第9節

請負

請負当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う約束をすることで成立する契約。

第10節

委任

委任当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約。

第11節

寄託

寄託当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約。

第12節

組合

組合複数の当事者が出資して、共同の事業を営むことを約束することで成立する契約。

第13節

終身定期金

終身定期金当事者の一方が、自分、相手方、第3者のうち誰かが死亡するまで、定期的にお金や物を相手又は第3者に給付する約束をすることで成立する契約。

第14節

和解

和解当事者がお互いに譲り合って争いをやめる約束をすることで成立する契約。
第3章 事務管理

事務管理義務がないのに他人のために何らかの仕事を始めた者が、仕事の性質に従って最も本人の利益になるような方法で仕事をすること。

具体例として、隣の家が留守にしている間に台風がきて屋根が壊れてしまったため、勝手に修理行うことなど。

第4章 不当利得

不当利得法律上の原因なく他人の財産や仕事によって利益を受け、それが原因で他人に損害を与えた者は、その利益が残っている範囲内で返還する義務を負うという制度。

具体例として、家の売買契約をしたが、買主の錯誤により契約が取り消された場合に売主は代金を返還をする義務を負うことなどがある。

第5章 不法行為

不法行為意図的に又はミスによって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する義務を負う。

具体例として、暴力、いじめ、インターネット上での誹謗中傷、交通事故などがある。

 

民法 親族概要

民法「親族」は「親族の範囲、婚姻、養子縁組、親子関係、親権、後見・保佐・補助、扶養」についての規定を定めています。

親族法を理解する上で重要な用語として、「身分行為」があります。
身分行為とは、法律上の身分関係に関する効果を発生・変更・消滅させる行為のことです。
身分行為の具体例として、婚姻・離婚や養子縁組などがあります。

それでは、親族の概要について見ていきましょう。

民法 第4編 親族
解説
第1章 総則
親族(血縁や婚姻による繋がりのある者)の範囲、親等の計算、縁組(親子でない者同士が、実の親子と同じ関係になる契約)による親族関係の発生、離婚等による姻族関係の終了、離縁(縁組を解消すること)による親族関係の終了、親族間の扶け合い(たすけあい)に関する規定。
第2章 婚姻

第1節

婚姻の成立

婚姻の要件(年齢、重婚の禁止、再婚禁止期間など)、婚姻の無効・取消しに関する規定。

第2節

婚姻の効力

夫婦の(名字)、同居・協力・扶助の義務、成年擬制(未成年であっても成年に達したものとみなすこと)、夫婦間の契約の取消し権に関する規定。

第3節

夫婦財産制

夫婦財産制婚姻によって生じる夫婦間の財産関係について定めた制度。

第4節

離婚

協議上の離婚(話し合って離婚すること)裁判上の離婚(裁判所に訴えを起こして離婚すること)に関する規定。
第3章 親子

第1節

実子

実子親と血のつながった子。

実子には、嫡出子と非嫡出子がある。

嫡出子結婚した父母の間に生まれた子。

非嫡出子結婚していない父母の間に生まれた子。

第2節

養子

養子縁組によって子としての身分を取得した者。

第4章 親権

第1節

総則

親権親が未成年の子供の利益のために保護監督や教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限・義務をいう。

第2節

親権の効力

監護教育、居所指定、懲戒、職業の許可、財産管理、利益相反行為などに関する規定。

第3節

親権の喪失

親権喪失父母が虐待や悪意の遺棄など子の利益を著しく害するような場合に、家庭裁判所が親権を奪うこと。

親権停止父母による親権の行使が困難な場合などに、家庭裁判所が一時的に親権を停止させること。

管理権喪失父母による子の財産管理に問題があった場合に、家庭裁判所が財産管理権を奪うこと。

第5章 後見

第1節

後見の開始

後見親権者による保護を受けられない未成年者や成年被後見人を保護する制度。

第2節

後見の機関

後見の機関後見人や後見監督人。

後見人・後見監督人の指定、選任、辞任、解任、欠格事由などに関する規定。

第3節

後見の事務

財産の調査及び目録の作成、財産の管理及び代表、利益相反行為、後見人の報酬、後見監督人の同意を要する行為などに関する規定。

第4節

後見の終了

後見人の任務が終了したときは、後見人は管理の計算を行い、被後見人に返還等を行う。
第6章 保佐及び補助

第1節

保佐

保佐精神上の障害により判断能力が著しく不十分である者の、重要な財産上の行為や、特定の法律行為について保佐人が代わりに行う制度。

第2節

補助

補助精神上の障害により判断能力が不十分である者の、特定の法律行為について補助人の同意・代理を要する制度。
第7章 扶養
扶養自分で生活を維持することができない者に対して援助すること。

民法 相続概要

民法「相続」は「人が亡くなった場合に、その亡くなった人の所有していた財産や権利をどうするか」についての規定を定めています。

それでは、相続の概要について見ていきましょう。

民法 第5編 相続
解説
第1章 総則

相続は死亡によって被相続人(亡くなった人)の住所で開始する。

相続回復請求権相続人ではない人が相続財産を管理・処分している場合に、本来の相続人が相続財産を取り戻すために請求する権利。

第2章 相続人
相続人相続によって亡くなった人の財産や権利を受け継ぐ人。
第3章 相続の効力

第1節

総則

相続人は、相続開始の時から、亡くなった人の財産や権利・義務を受け継ぐ。
ただし、亡くなった人の一身専属権(その人しか持つことのできない権利)に属するものは受け継ぐことができない。

一身専属権の具体例として、年金や親権、著作権などがある。

第2節

相続分

相続分複数の相続人がいる場合に、各相続人が受け取る割合。

相続分を決定する要素として、法定相続分(法律で定められた各人の相続財産を受け取る割合)、遺言による相続分の指定、特別受益者(亡くなった人から特別に財産をもらった人)寄与分(亡くなった人の財産の維持・増加に貢献した相続人の取り分)などがある。

第3節

遺産の分割

遺産の分割遺産が複数の相続人の共有となっている場合に、どのように分けるか話し合って決めること。
第4章 相続の承認及び放棄

第1節

総則

相続人は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について単純承認・限定承認・放棄のいずれかをしなければならない。

第2節

相続の承認

単純承認亡くなった人の財産や借金などすべてを受け継ぐこと。

限定承認亡くなった人の財産がプラスになる範囲内であれば、マイナスの財産も受け継ぐこと。

第3節

相続の放棄

相続放棄初めから相続人でなかったのと同様の扱いになること。
第5章 財産分離
財産分離①亡くなった人の財産・借金と、②相続人の財産・借金を分離することで、①の返済は①の財産から、②の返済は②の財産からすることになる。
これにより、債権者のとりっぱぐれを防ぐのが目的。
第6章 相続人の不存在

相続人の不存在相続人がいるかいないかわからない場合に、相続財産を法人として扱い、管理人を選任することとなる。

最終的に残った相続財産は、国庫に帰属する。

第7章 遺言

第1節

総則

遺言は民法に定める方式に従わなければすることができない。

第2節

遺言の方式

自筆証書遺言遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書し、押印したもの。

公正証書遺言証人2人以上立ち会いのもと、遺言者が公証人に趣旨を口頭で話し、その内容を公証人が筆記し、遺言者に内容を確認した後に遺言者と証人がそれぞれ署名・押印し、最終的に公証人が署名・押印したもの。

秘密証書遺言遺言者が遺言書に署名・押印し、押印した印鑑と同じもので封印し、公証人1人または証人2人以上の前で遺言書が自身のものであることと、筆者の氏名・住所を告げ、最終的に公証人が遺言書を提出した日付と告げられた内容を記載した後、遺言者と証人が署名・押印したもの。

第3節

遺言の効力

遺言は遺言者の死亡の時から効力が生じる。

第4節

遺言の執行

遺言書の検認を行い(公正証書遺言の場合は不要)、遺言執行者を選任し、相続財産の目録を作成したのち、遺言の内容に従い、各人が相続する。

第5節

遺言の撤回及び取消し

遺言者はいつでも遺言の全部・一部を撤回できる。

負担付遺贈を受けた者が負担した義務を履行せず、催告してもなお履行しない場合は、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

第8章 配偶者の居住の権利

第1節

配偶者居住権

配偶者居住権亡くなった人の配偶者が、相続開始時に亡くなった人の所有していた建物に居住していた場合、その建物の全部について無償で使用・収益することのできる権利。

第2節

配偶者短期居住権

配偶者短期居住権亡くなった人の配偶者が、相続開始時に亡くなった人の所有する建物に無償で居住していた場合で、その建物の所有権を相続や遺贈によって取得した者に対し、一定の期間その建物を無償で使用することを主張することができる権利。
第9章 遺留分
遺留分兄弟姉妹以外の相続人の最低限の取り分。
第10章 特別の寄与
特別の寄与亡くなった人に対して無償で療養看護やその他のお手伝いをしたことで相続財産の維持・増加に貢献した親族は、相続の開始後、相続人に対し、貢献した分に応じた金銭の支払いを請求することができる。

さらに詳しい内容を学習したい方へ

下記のリンクからさらに詳しい内容を解説した記事を読むことができます。
第1回から始まり、民法の条文の順番通りとなっています。
用語の意味や要件・効果、判例などをまとめていますので、試験対策等にもオススメです。

民法総則 第1回 通則 〜公共の福祉の原則、信義誠実の原則、権利濫用の禁止〜

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