著作権法とは
著作権法とは、著作物を作成した者が持っている権利を定め、その保護を図り、文化の発展に寄与するための法律です。
著作権法の対象は著作物であり、権利の主体は著作者です。
著作者の財産的な部分に関する権利が著作権であり、人格的な部分に関する権利が著作者人格権となっています。
また、著作物を伝達する者に関する権利として、著作隣接権があります。
著作物に該当するものとして、「思想又は感情を創作的に表現したものであり、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するもの」であることが要件となります。
著作物の具体例として、小説、手紙、絵画、写真、プログラムなどがあります。
著作物にあたらないものの例として、ありふれた表現や、単なる事実を示すデータがあります。
著作権法に違反すると、民事責任と刑事責任を負う可能性があります。
民事責任には、侵害行為の差止め、不法行為による損害賠償、不当利得による返還、名誉回復等の措置があります。
刑事責任については、著作権法第8章に規定される罰則などがあります。
この記事では著作権法の基礎的な部分について解説しますので、知らないうちに著作権法に違反していたなどということにならないよう、著作権とはどういうものかを理解する参考にしていただけると幸いです。
著作権と類似する権利との比較(他の知的財産権)
著作権と類似する権利である商標権、特許権、実用新案権、意匠権などの権利との違いがどのようなものであるかを見ていきましょう。
著作権と類似する権利との比較(他の知的財産権) | ||
知的財産権 | 内容 | 具体例 |
著作権 | 著作物(思想や感情を表現した創作物)に関する権利 | 小説、映画、音楽、絵画、プログラムなど |
商標権 | 商品やサービスの名称・マーク・色彩・音などに関する権利 | 企業のロゴ、自動車のエンブレム、CMで流れる企業の音楽・キャッチフレーズなど |
特許権 | 自然法則を利用した高度な技術的発明・アイデアに関する権利 | 新薬、スマホの機能、通信方式など |
実用新案権 | 物品の形状・構造・組み合わせについての発明・アイデアに関する権利 | 箸、ボールペン、ペットボトルのキャップなど |
意匠権 | 商品のデザインに関する権利 | 自動車、スマホ、机・椅子など |
著作権の発生
著作権は手続きをしなくても著作者に発生します。
著作権が発生するための要件として、著作物に該当している必要があります。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものをいいます。
「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは、作品に作者の個性が表現されているものをいい、日記や子供の落書きであっても認められる場合があります。
著作権法第10条には、著作物の例を示した規定があります。
その内容は下記の通りです。
①言語の著作物(小説、論文、漫才、俳句など)
②音楽の著作物(楽曲、歌詞)
③舞踊又は無言劇の著作物(バレエ、パントマイムなど)
④美術の著作物(絵画、彫刻など)
⑤建築の著作物(住宅、橋梁など)
⑥図形の著作物(地図、設計図、図解、グラフなど)
⑦映画の著作物(劇場用映画、ゲームソフトのムービーなど)
⑧写真の著作物(写真、画像など)
⑨プログラムの著作物(OS、アプリ、ソフトウェアなど)
①〜⑨の定義に該当する場合、著作物となります。
ただし、これらはあくまで例として示された規定ですので、ここに記載されていないものであっても著作物に該当する可能性はあります。
著作者
著作者とは、著作物を作成した者をいいます。
「著作物を作成」とは、思想や感情を表現し、実際に作成に関与している必要があります。
作成の依頼やアイデアを提供したにすぎない場合は、著作物を作成したとは認められません。
著作者は単独である場合や、複数人による共同著作である場合があります。
著作権の内容
著作権は財産権の一種です。
財産権には、所有権・物権や債権、知的財産権などがあります。
著作権法で認められている権利として、著作権と著作者人格権があります。
著作権は、著作者の財産的な利益を保護することが目的です。
著作者人格権は、著作者の人格的な利益を保護することが目的です。
著作権は他人に譲渡することができますが、著作者人格権は他人に譲渡することはできません。
著作権の存続期間は原則、著作者の死後70年間となっています。
著作者人格権の存続期間は、著作者が死亡するまでとなっています。
まとめ
著作権とは、作者の個性が表現された作品であれば、手続きをしなくても自動的に発生します。
著作権の内容として、著作権と著作者人格権があり、これらを侵害した者に対して民事上・刑事上の責任を問うことが可能です。
著作権法〜第1回 基礎〜については以上となります。